今朝、いつものように眠い目をこすりながら、二階から下りてきて、リビングの戸を開けた途端、目を剥いた。
クーラーが付けっぱなしだ。
許せない。
何が悲しくて、誰もいない部屋を一晩中冷やさなければならない?
私が日々どんなに爪に火をともすような慎ましい生活をしてると思っているのだ!
小まめに電気を消してた事も、人目をしのんで半額商品を買ってた事も、この一晩で全ておじゃんだ。
「あー腹立つ!腹立つ!」と朝からプンプンしながら、私は忙しく部屋中を片付け回っていた。
何故なら、ズッタズタに引き裂かれた私の黒手袋と、ボッロボロに食いちぎられた私の携帯ストラップのミッキーさんが、リビング中に撒き散らかされていたからだ。
これらは私のファスナー付きカバンの中に入っていたはずなのに、どうやらライアンが夜中に開けて暴挙に及んでいたらしい。
夫が起きてくるまでに、これらを片付けておかないと、クーラーの件が曖昧になる。
夫の事だから、この有様を見れば、「クーラーもライアンがつけたんちゃう?」などと言いかねない。
いや、挙句には「お前がちゃんとカバンを閉めておかないからライアンがまた変な物を食べてしまうんだ」と、こっちが責められかねない。
確かに、ライアンのこの暴れようからすると、本当に走り回っているうちにクーラーのリモコンを踏んだのかも知れない。
私も実は、夕べちゃんとカバンのファスナーを閉めたかどうか自信がない。
だがしかし!
この際真実の追究などどうでもいいのだ。
要は一晩中無駄についていたクーラーへの私の怒りをどこに持って行くか、だ。
ライアンを責める気など、ハナから私にはない。
ターゲットはただ一人。
私は周到に証拠隠滅を済ませた。
やがて起きてきた夫は、「おかしいなぁ、消したはずやけどなぁ」と訝しがりながらも、私の執拗な自白の強要によって、全てを認めた。
これでいい。
ちょっとした勝利感と共に、冤罪のしくみがなんとなくわかった朝であった。
オレじゃないもんね!何かを察して高い所に逃げる猫。