それも奈良の映画館に、である。
特に見たい映画があったわけじゃないのに、奈良にまで行ったのには、理由がある。
先にパン屋のパートをクビになったと書いたが、その退職金として、店長が映画のチケットを2枚くれたのだ。
ラジオの景品で当たったとかで、しかも奈良の映画館限定チケットだった為、店長としては持て余し、私が奈良出身だと言うだけの理由で、良かれと思ってくれたのだ。
私がいくらタダが好きだからと言って、映画を見るためにわざわざ奈良まで行ったりはしない。
奈良までの往復電車賃で、十分映画代がでるからだ。
しかしせっかくの店長の好意だし、奈良の友人を誘って行く事にした。
和洋数ある作品の中から、私達が選んだのは、『チームバチスタの栄光』である。
これが思ってた以上に面白かった。
何と言っても阿部寛がいい。
この人の登場シーンから、一気に物語が盛り上がって行く。
もう一人、意外と言っては失礼だが、吉川晃司が良かった。
吉川晃司が外科医と言うのは如何なものかと思っていたのだが、見ている内に、この人になら手術して貰っても良いとまで、思ってしまった。
彼の全盛期を知る者としては、頭に白髪がチラホラしてる事に時の流れを感じ、妙な感慨があって、余計に良かった。
願わくば、エンディングに“モニカ”を期待したのは、私だけではないはずである。

お母ちゃん、早く帰って来て!
な~んて全然思ってません。キッパリ
