ライアンが2階から降りてきて階段の下でジッとしている。
どうも様子がおかしいので見に行くと、全身を毛羽立てて、瞳孔も真ん丸に見開き、2階を凝視しているではないか。
また虫でも見つけたか?と思い、とりあえず2階に上がってみた。
途中でふと下を見ると、ライアンはまだボンボンに膨らんだまま、さっきと同じ場所で見上げている。
2階の寝室の電気を点け、一通り見たが、特に何も変わった事はない。
念のため、窓の外やベッドの隙間なんかもチェックしたが小さな虫1匹いない。
下に降りてライアンに「何にもないよ。」と伝えたが、まだ彼はゾワッと膨らんだまま落ち着きなくリビングをうろつき、時々2階を見上げる。
私はまた不安になりもう一度ソォッと2階に上がり、今度は誰か潜んでないかとタンスの中まで開けてみる。
しかしやはり誰もいない。
「やっぱり大丈夫だよ。」とライアンに言うと、信用できないのか、自分で確かめると言わんばかりにソロソロと階段を上がりだした。
2・3段上がった所で、「お母ちゃん、ついてきてーな」と振向くので私もついて上がる。
ライアンは途中何度も振り返り、私がついて来てるのを確認しながら、ゆっくりゆっくり上がっていく。
寝室に入ると、入り口でピタリと止まり、またボワッとシッポを膨らませる。
私はもう一度、ライアン監視の元、部屋中をチェックし、「ね、何にもないでしょ?大丈夫よ」とことさら明るく言ってみる。
するとライアン、「え?そこにいるじゃん。」と、猛ダッシュで駆け下りていった。
ギョエ~~!
いるってナニ?
誰かいるの?
ここにどなたかいらっしゃるって事なんスかぁーー?
やめてよ、怖ぇーよ!
今晩ここで寝るんだよ、どーすんのさーーー!

いるよ、ホラ、そこ、あなたのウ・シ・ロ…