今日はアニメの「河童のクゥと夏休み」と言う映画のお話。
封切はずっと前だが、その時のコマーシャルで見て、絶対泣ける映画だと確信していた。
内容は、何となく想像で「河童と仲良くなった子供が大人達から河童を守る」言ってみればE・Tみたいなお話なんだろうと思っていた。
ところが実際はそうではなくて、現代社会を皮肉った、なかなか深いお話だったのだ。
かいつまんで言うと…
百年前から岩に閉じ込められた河童のクゥが現代でコウスケ少年に助けられ、その子の家で生活するようになる。
やがてクゥの存在は人々の知る所となり、人間達は可愛いクゥをひと目見ようと大騒ぎする。
このあたり、いつぞやのタマちゃん騒動を彷彿させ、カメラに怯えるクゥの様子は、当時タマちゃんの気持などお構いなしに追いかけ回してた風潮を思い起こさせる。
そしてクゥにテレビ出演の話が舞い込む。
ここでコウスケが「そんなのダメだよ。クゥが可哀想だよ」と言うかと思いきや、彼は自分も一緒にテレビ出演できる事を喜び舞い上がるのだ。
これも現代っ子の気質を如実に表していて真実味がある。
それから何だかんだで、クゥは無事人里離れた綺麗な場所で暮らす…と言うハッピーエンドなのだが、私がこの映画で泣いたのは、全然違う視点である。
コウスケの家は「おっさん」と言う名の1匹の犬を飼っている。
おっさんはこの家に来る前に飼われていた家で、それはそれは幸せに暮らしていた。
おっさんは元の飼い主の少年が大好きだった。
しかし少年が大きくなるにつれ、2者の関係は段々いびつになっていく。
少年は学校でイジメにあい、毎日殴られて帰ってくるようになる。
少年の悲しみはやがて自分より弱い者へ、すなわち、おっさんへ向かう。
少年は自分が殴られて帰る日はおっさんを殴る。
無抵抗な、少年を信じ切っているおっさんを、少年は泣きながら無言で殴る。
耐えきれなくなったおっさんは、ある日とうとう鎖をちぎって逃走する。
そして精も根も尽き果てて行き倒れになった所をコウスケに拾われ今日に至る…のだ。
これは映画の本筋とは関係ない、ほんのちょっとしたサイドストーリーなのだが、この逸話に私は断然おっさんが気になってしょうがない。
おっさんはクゥのテレビ出演で浮かれてるコウスケ一家に危機感を感じ、自分もテレビ局について行く。
おっさんの杞憂は現実のものとなり、クゥは本番中にパニックを起こし、騒動になる。
逃げまどうクゥを呆然と見てるだけのコウスケ一家に業を煮やしたおっさんは、クゥを背中に乗せテレビ局を脱出する。
そして逃走途中、おっさんは車にはねられ死んでしまうのだ。
死ぬ間際、おっさんは言う。
「あぁ、あいつ、ちゃんと生きてるかなぁ。あのまま殴られてりゃ良かった。そうすりゃぁ、あいつも少しは気が晴れて、また…あの頃みたいに…」
最後の最後にそう言っておっさんは死んでいく。
もう号泣。
犬ってやっぱり素晴らしい!
ライアン改めハチ、今日からあんたをおっさんと呼びます。
今度はクゥに改名かと思ってたら、まさかの「おっさん」かよっ!!