化粧をしたりお洒落をしたり、人は何故そんな事をするのか?
それはひとえに、人目を気にするからに他ならない。
逆に言うとそれは、人目がなければどうでもいい、と言う事でもある。
例えば、夜お風呂上がりにちょっとコバラがすいて近所のコンビニへ…なんて時、あなたはわざわざ化粧をして行くだろうか?
大概の人はスッピンのままジャージにサンダル履きで平気で出かけるだろう。
私だってそうだ。
何故なら、こんな時間にそんな場所で誰にも会わないから。
会うはずがないから。
しかし、果たして本当にそうだろうか。
買い物をして誰にも会わないなんて事があるのだろうか。
買い物をしたら必ず会う人物の存在をあなたは忘れてはいないか。
そう、それはレジ打ちの人。
レジ打ちの人なんか知らない人だし関係ないわと思うかも知れない。
私もそう思っていた。
あのレジに潜むおぞましい事実を知るまでは…。
年明けから仕事に出る事になり、いよいよ今月その研修が始まった。
最初に教わったのがレジ打ちである。
最近のレジはハイテクで、感心しきりである。
商品をピッとすれば金額が表示され脳みそを使わなくとも簡単にできる。
しかし、お客さんからお金を受け取った後にしなければならない事が私を驚愕させた。
何とそのお客さんの年齢を打ち込まねばならないのだ。
それをしないと作業は先に進まないシステムなのだ。
「そこは適当でいいよ」と店長は言う。
「大体の見た目でいいから」
大体の見た目…
て事は何かい?
今まで私も買い物に行く度に、レジで大体の見た目で値踏みされてたって事かい?
おいおい冗談じゃないよ。
見も知らぬ他人が、毎日毎日私の年齢を見た目で判断してただと!
年齢表示は「子供」「10代」「20代」「30代以上」「50代以上」に区分されている。
この「30代以上」の次に「40代」が飛んで「50代以上」と言うところがミソで、もしかして私って「50代以上」に区分されてる??と夜のコンビニの私を見るレジの兄ちゃんの目を思い出す。
そんなワケで店長、私ここ絶対適当にできません。
客がどんなに若づくりしてようと、またどんなにモッサリしてようと、私はあなた達の年齢を適当に判断したりはしない。
どう見てもくたびれた老齢に見えるサラリーマンよ、私はジャンプとプリンを買ったあなたを50以上とは見なさない。
小奇麗に着飾り、爪をキラキラさせているОLよ、私だけはあなたのほうれい線を見逃さない。
いかに的確に客の年齢を当てるか、それが目下の私の仕事のテーマである。
いや、そこは適当でいいから、ちゃんと働け!