人生初ぎっくり腰になった時お世話になったあの病院だ。
その頃は先生が一人で切り盛りしてたのに、今回久しぶりに訪れると、先生が増えていた。
それも二人、しかも若い。
なにげにジロジロと観察する。
一人はごっつい体格で、いかにも柔道やってます的な若者。
この人に整体して貰ったらきっと力強くて気持ちいいだろうな…と感じさせるタイプ。
もう一人は華奢で色白、力あるの?って訝しく感じるほど線が細い。
でも、私は断然こっちのひ弱君の方が気に入った。
なぜなら、彼はイケメンだからだ。
この人に背中揉まれたらちょっと照れちゃうかも。
でも私の担当は院長先生だから、大丈夫。
院長は全然イケてないけど、腕は良いので私は満足している。
やっと私の名が呼ばれ、ベッドにうつ伏せになり先生を待つ。
やってきた院長は何を思ったか、突然こう言った。
「今日は新しい先生にraipiさんの体を覚えて貰います」
えぇぇーーー!
いやん、まだ心の準備が…
「体覚える」って言い回しもどうよ…
一瞬にしていろんなことが頭を駆け巡るが、なんせこちとらうつ伏せ状態、顔を上げることもできずなすがまま。
すると人の気配が変わり、「raipiさん、初めてですけど、よろしくお願いします」となんとも初々しい、か弱い声がするではないか。
あぁ間違いなくイケメンの方だ。
何だか妙に緊張する。
ここに来る時はリラックスできるようにウエストもユルユルのズボン(ジャージ)で来るのだが、あぁ、それが恥ずかしい。
先生、私いつもはこんな女じゃないんです。
常にジャージでだらしなく過ごしてるって思われたらどうしよう。
気もそぞろの私の背中を、イケメン先生がソロリと押し始める。
え?
何?
弱いんですけど。
全然気持ちよくないんですけど。
でもまぁしょうがないか、イケメン先生は非力そうだったもの。
イケメンってのは大抵そんなものなのよ。
多くを望んじゃダメダメ。
それしにてもユルイ。
これじゃライアンのグーの手で押してもらう方がナンボか気持ちよいわ!
やがて施術が終わり、いよいよイケメン先生とご対面。
うつ伏せでボッサボサになってる前髪を気にしつつ、笑顔で振り向くと、そこにはごっつい体の柔道先生が立っていた。
お前やったんかーい!

お揉みしましょうか?
クイクイ♪