当然ながら産婦人科に来る患者は圧倒的に妊婦が多い。
その中で私はちょっと浮いている。
いや、かなり浮いている。
思い過ごしかも知れないが、向こうの若い妊婦など、あからさまにこちらを見て眉をひそめている気がする。
あぁ、私は自分がメンタリストでなくて良かったと心から思う。
人の心がわかるメンタリストだったなら、「あのおばさん、産婦人科に何の用?」って悪意があっちからもこっちからも聞こえてきて、立ち上がれなくなっただろう。
そもそもこの産婦人科の医者、私の筋腫を発見した時に「子宮取っちゃう?卵巣も一緒に取っちゃう?」といかにも楽しげに言ったのだ。
その上更に、「筋腫は閉経したらちっちゃくなるから、閉経を待つ?そろそろでしょ?」とぬかしやがった。
怒りを抑え、あらゆる悪態を飲み込んで、とりあえず一旦持ち帰り、早速リサーチ開始である。
すると意外と筋腫持ちの人が多くて驚いた。
大抵の人が「そのままにしてる」すなわち「閉経待ち」である。
中には即子宮を取っちゃった人もいて、その人は子宮を取ったその日から生まれ変わったようにスッキリして快適な毎日を送っていると言う。
またある人は、私よりうんと若いのにとっくに閉経済みで、これまた毎日快活に過ごしていると言う。
あの日屈辱感と共に「閉経待ち」とカルテに書き込まれ、背中を丸めて家路に着いた私はもういない。
閉経待ち、上等じゃないか。
「ヘーケービー48」結成してやろうじゃないか。
集まれ!同志よ!
私は今、閉経の向こうに輝く未来を見据えながら更年期ライフを元気に楽しんでいる。

俺はササミ待ち…
いつまでも待つ…キリッ!