高速道路へ外側から上がる階段があって、側壁をガラガラって開けて恐る恐る覗くと、案外大勢の人が荷物を片手にバスを待っている。
目の前は勿論、車がビュンビュン走っている。
排気ガスと粉塵で霞んだバス停に、落ち着かない気持ちで娘と並ぶ。
不安の中、とにもかくにも、いよいよ私たち母娘の初めての二人旅が幕を開けた。
バスは次々にやって来て、その度に何人かの人達が乗り込み、やがてバス停は私たちだけになった。
東京行きはまだ来ない。
無口になる私を不安げに見上げる娘。
ケチらずに新幹線にすれば良かったと、早くも後悔に苛まれてる事を悟られまいと目を逸らす私。
やっとやって来た東京行きバスは、2階建てで、見た目も豪華で、乗り込むと中も案外広々している。
座席も3シートなのでゆったりしてるし、ちょっとホッとして、「ほら、なかなかいいじゃん。快適快適!」と娘に上ずった声で話しかけながら、いざ、出発。
大阪から既に何人かの人が乗っていたのだが、それとなく見渡すと、皆、サラリーマンか学生さんで、複数人で乗ってる人はいない。
誰もが一人で、寡黙に座っている。
当然子供は乗ってないし、親子連れもいない。
車内は全く静かで、話し声ひとつしない。
娘は早速DSIに興じ、案外違和感なくバス内に溶け込んでいるが、私は本も持ってきてなかったので、一人退屈で退屈で、眠れれば良いのだけど、なかなか眠れず、どうもいけない。
おまけに地理感覚が非常に疎いので、今どこを走ってるんだか皆目わからない。
途中のバス停の地名を聞いても(バス停が結構あるんですよ!)、何県なのかがわからない。
やっぱり若い内に勉強はしておくべきだった。
普通に暮らす分には地理なんて必要ないし…とか思って勉強しなかったツケがまさかこんなとこで来るとは!
きっと微分積分とかにひどい目に会わされる日もその内来るに違いない。
東京はまだ遠い。
お昼はサービスエリアでゆっくり食事タイムがあるのだろうと勝手に思っていたのだが、定期的に休憩で止まるだけで、バスはひたすら走る。
それもそのはず、京都を出たのが朝9時半で、到着予定は順調に行っても5時、なのだ。
疲れもピークに達した頃、窓外に東京タワーを発見!
妙にテンションアップしてしまい、更に次々現れる国会議事堂や、皇居のお堀を目にして、急に口数が多くなり、私ってつくづく田舎モンだわ…と実感。
結局、渋滞もあって、8時間ほどかかって、ようやく、花の都東京に到着。
旅の第一目的である、東京駅構内のジャンプショップで、「沖田のアイマスク」を無事ゲットし、ホテルへ向った。
明日はいよいよもう1つの目的、夢の国、ディズニーランドだ。
今は夢を見る元気もないけれど、明日に備えてぐっすり眠るとしよう。
続く…

これが「沖田のアイマスク」
スポンサーサイト