ながいきくん

固定資産税を払いに郵便局へ行ったら、窓口の若い男の郵便局員に保険を勧められた。
彼が示したプランは「ながいきくん」と言う、いわゆる老後の備え的な保険である。
例えば窓口に20歳や30歳の客が来たなら、郵便局員はよもや「ながいきくん」など勧めはしないだろう。
この男は一体私を何歳ぐらいに見積もって「ながいきくん」を勧めるのだろう?
すると彼は、「こちらが具体的なプランです」と1枚の用紙をおもむろに取り出した。
その1番上に、大きな字で「50歳女性の場合」と書いてあるではないか。
いや、敵ながらあっぱれではあるが、そんなドンピシャに当てられて、私は少なからず傷付いた。
前々から、テレビで私と同年代の犯罪者の写真を見るたびに、「いやいやいや、いくらなんでもこの人よりは私の方が若く見えるな」などと密かに思っていたのに、他人さんから見たら、そんな犯罪者も私も大差なかったワケで…

郵便局員は、「差し支えなければ生年月日を教えて下さい」と言った。
差し支えは多いにあるが、今更嘘をついても仕方ないので正直に「ピッタリですよ、50です。」と作り笑顔で言うと、彼は「あぁ~残念!早生まれですねぇ。保険の世界ではこの場合、51歳になるんですよ」とニヤリと笑った。

若造よ、お前はここで己れの犯した大きなミスに気付かねばならない。
コンパでは通用するのかも知れないが、「知識のひけらかし」や「あなたの年齢ピタリと当てます能力」など、おばさん相手には何の効力も発揮しない。
おばさんをその気にさせたいなら、何はなくともまず、おだてるのだ。
そんな事も知らずして、社会人が勤まるほど世の中は甘くない。
若造よ、お前に未来はない。

と、怒り心頭の帰り道、私は何故かずっと「ながいきくん」の事を考えていた。
確か若造は「65歳から5年毎に一時金が貰える」と言わなかったか?
欲しい。
それ、めっちゃ欲しい。
その小金に目が眩み、後15年(保険の世界では14年か?)払い続ける苦や、途中で死んだらどうなるのかと言う不安は、頭からすっかり消えている。
気が付けば若造の提案した「50歳女性」のプランをずっと見つめている。
そうか、ヤツの狙いはおばさんをおだてて勧誘するのではなく、おばさんの「欲」に火を付ける事にあったのか。
してみると、こやつ案外したたかに出世していくのかも知れないなぁ…




欲にまみれた人間ってイヤ~ねぇ…






FC2カウンター

プロフィール

raipi

Author:raipi
京都在住 ♀ A型 水瓶座

ライアン ♂ 2006年8月20日生

月別アーカイブ

ブログ内検索

ブロとも申請フォーム