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妄想で悶々

信号待ちをしていると、横に立っていたおばあさんがフラフラとその場に崩れ落ちた。
私と、すぐ側の駐車場のおじさんとが、同時に「大丈夫ですか?」と声をかけた。
おばあさんは「大丈夫大丈夫」と意識はしっかりしてる様子だが、一旦立ち上がったもののまたすぐフラフラと倒れてしまう。
私が「救急車呼びますね」とおばあさんに言うと、駐車場おじさんが「これは救急車や!救急車呼ばなあかん!」とかぶせてきた。
「ワシ、仕事中やさかいな、ケータイないねん、あんた電話してんか!」
言われなくてもする。
私はおばあさんを支えながら生まれて初めての119へコールする。
「火事ですか?救急ですか?」と最初に聞かれるのは知っていたので、落ち着いた感じで「救急です」と言う。
続けて住所を聞かれるが、道端である事を伝えると、「救急車が見えたら手を上げて合図をして下さい」と言われたので、私はおばあさんを励ましながらその場で待っていた。
程なく救急車がサイレンと共に現れた。
私が手を上げて合図を送ろうとしたその時、さっきの駐車場おじさんが横から大きな声で「こっちこっち!ここや!」と叫びながら手を上げた。
その上、駐車場おじさんは「ワシが救急車呼んだ方がええと判断しました」などと得意げに言い出し、救急隊のお兄さんにお礼を言われたりしている。
え?なに?じゃあもう私行ってもいいですか?急いでるんで。
と、立ち去ろうとすると、いつの間にか集まってきた野次馬の中のテンガロンハットを被ったおじさんが「あんたは居とかなあかんで!救急車呼んだ人は色々聞かれるからな」と言う。
そうなんだ…と、その場で待っていると、おばあさんを無事担架に乗せた救急隊のお兄さんが「えーとどんな様子だったんですかねぇ?…」とキョロキョロし出した。
「あ、はい、あのですね…」と言いかけた私の前に立ちはだかったのはテンガロンハットおじさんである。
「急にフラフラ~と倒れはりましてん。一回立ち上がらはったんやけどな、またフラフラ~と」
テンガロンハットはよどみなく説明を始めた。
おばあさんが救急車に乗せられると、駐車場おじさんとテンガロンおじさんは共に満足げな表情で良かった良かったなどと笑顔を見せている。
結局私は何も聞かれず、救急車を見送るしかなかった。
そう言えば住所や名前をすら聞かれなかった。
もしあのおばあさんが病院で回復後、「救急車を呼んでくれたのはどこのどなただったの?親切なその人に是非お礼を…」と思ったらどうなるんだろう?
きっとものすごくお金持ちのそのおばあさんが消防署に問い合わせても私の住所氏名は誰も知らない。
おばあさんが諦めてくれたらまだ良いが、とんでもなく財産を持て余してるそのおばあさんがそれでも食い下がった場合、救急隊のお兄さんはあの駐車場おじさんやテンガロンおじさんの情報を伝えるのではないか?
そうするとだ。
莫大な財産を誰に譲るかだけが悩みの種だったそのおばあさんは、間違いなく駐車場おじさんとテンガロンおじさんに遺産を渡すに違いない。
違うのに!
私なのに!
本当に遺産を譲り受けるべきは私なのに!
と、あらぬ妄想で夜も眠れない。
おばあさん、これを読んだら是非ご一報を。
受け取る準備、いつでもできてます。




遺産を兄弟で分ける気はありません!キッパリ





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raipi

Author:raipi
京都在住 ♀ A型 水瓶座

ライアン ♂ 2006年8月20日生

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